任意整理後の住宅ローンへの影響
任意整理とは、債権者と債務者(または代理人)が利息のカットや毎月の返済額を減額するなど無理のない範囲で返済を行えるよう交渉するものです。
債務整理の方法として他に個人再生や自己破産などがありますが、任意整理を選ぶ人が多くいます。それは住宅ローンへの影響も理由の1つとして挙げられます。
任意整理をすると、「住宅ローンが組めなくなるのでは?」「住宅ローンを返済中だけれど、家は手放さなくてはならないのか?」と心配になるかもしれません。
そこで今回は、任意整理と住宅ローンの関係について説明していきます。
住宅ローンについて
住宅ローンの種類
家を建てるための土地を取得したり、新しい住宅の建設や改築等を行う目的のために資金を借りるローンのことを住宅ローンといいます。 このときは土地と家屋が担保となります。
住宅ローンにはいくつかの種類があり、その中でも代表的なものは公的融資と民間融資、そしてフラット35の3つです。
公的融資は主に都道府県や市町村などによる融資ですが、全国すべての自治体で行われているというわけではありません。金利はそれぞれの自治体によって異なるものを採用しています。
一方で民間融資は都市銀行や信用金庫、農協などによって行われ、中にはそれぞれの金融機関ごとに育児や退職に関連した特色あるローンを提供している場合もあります。
フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携してできた住宅ローンで、取り扱う機関によって融資や金利の額は変わってきます。 15年以上35年以下の、長期固定金利型の住宅ローンです。
住宅ローンの審査ポイント
住宅ローンで融資を受けるためには審査に通る必要があり、そのためにはいくつかのポイントをクリアしなくてはなりません。審査に通った人の特徴を見ていくと、安定した収入があるかどうかが重要な要素として挙げられます。
勤続年数が長かったり、貯蓄が多くあったりする場合は審査が通りやすくなります。
自営業やフリーランスの場合であっても、担保としての土地の評価が高ければ審査に通っている傾向にあります。 対して過去に債務整理を行った経験があったり、他に返済中の借金があるなどといった状態の人は審査に落ちてしまう可能性が非常に高いです。
任意整理をした場合は住宅ローンを組むことができない?
任意整理をするとブラックリストに載ってしまう
任意整理を行ってしまうとブラックリストに載ってしまい、ある程度の期間を空けないと新たな借り入れやクレジットカードの作成ができなくなります。
そもそもブラックリストとは、そのようなリストが存在するわけではありません。
債務の返済の延滞をしてしまったり、債務整理をしたりすることで個人信用情報に事故情報として登録されることを、ブラックリストに載ると表現しています。
個人信用情報機関とは
クレジットカードや新規の借り入れを申し込んだ場合には、申し込みを受けた業者は個人信用情報機関に申し込んできた人の登録情報を確認します。
個人信用情報機関とは、加盟する会員会社から信用情報を管理・提供することで消費者と会員会社との健全な信用取引を支えるために存在している機関のことです。
信用情報とは、この場合は個人のローン情報やクレジットカードの支払情報、公共料金等の支払い情報のことを指します。
個人信用情報機関には、KSCとJICC、CICの3つがあり、KSCは銀行系カードローンの情報が、JICCには消費者金融の情報が、そしてCICにはクレジットカード系の情報がそれぞれ登録されています。
ブラックリスト載ってしまうと住宅ローンを組むことができない
住宅ローンを組む際には、クレジットカード会社などと同様にあらかじめ審査が行われます。
審査の内容は詳しくは明示されていないので断定はできませんが、申請者の年収や勤務先・勤務年数に加えて各種公共料金の支払い状況、申請者の健康状態、そして申請者の信用情報が見られています。
これらの項目でもって申請者が住宅ローンをきちんと支払いきれるのかどうか、審査するわけです。
ブラックリストに載ってしまっている状態だと、過去に支払いが滞っていたということなので、審査に通らずローンを組むことができなくなります。
住宅ローンは長い期間の高額ローンとなるので、個人信用情報の審査に重きが置かれます。
任意整理をしても家族には影響ない
ブラックリストに載ってしまい住宅ローンが新たに組めない状態でも、家族の協力を得ることができれば住宅ローンを組むことができます。
任意整理をした際の情報は、あくまで個人の情報なので配偶者や家族には関係ありません。そのため、配偶者や家族の事故情報(ブラックリスト)は住宅ローンの審査に影響がなく、問題なく住宅ローンを組むことができます。
もし任意整理をしていても住宅ローンを組みたい場合は、家族の名義で組むことができます。ただし、配偶者や家族が何らかの保証人になっていると影響があることもあります。
任意整理をしても現在返済中の住宅ローンについては心配ない
任意整理のメリットは対象を選べること
債務整理は借金で破綻した生活を立て直すことを目的としているため、基本的に全ての債務に適用されます。ただし、債務整理の中でも任意整理だけは、一部の債権だけを対象にすることができます。
保証人が設定してある債務だけ任意整理ができるので、連帯保証人を簡単に外すこともできます。対象に外した借金は減額できませんが、連帯保証人に迷惑がかかりません。
このように必要な債務だけを選んで整理できる点が、任意整理のメリットです。
住宅ローンと同じ銀行のカードローンを任意整理しても大丈夫
任意整理は対象を選べますが、同じ債権者から借りている債務に関しては分けることが困難です。
ただし、任意整理を行なったカードローンと同じ銀行で住宅ローンを組んでいても、住宅ローンは対象になりません。
住宅ローンでは多額の融資を受けるため、債権者側は返済不能となった時に備えて債務者の所有する不動産など担保権を設定します。
同じ債権者から借りた債務に対する任意保険が住宅ローンに影響がないのは、この担保権が存在するからです。
ただし、住宅ローンを任意整理すると抵当権が実行される
原則的に任意整理では、所有権留保が付けられている住宅ローンやマイカーローンに適用することはできません。
所有権留保によって、不動産や自動車の所有権がローン完全返済まで債権者側に渡ります。
ローンを完全返済する前に債務整理が行われると、債権者側は抵当権を実行することが可能です。
住宅ローンを対象に任意整理を行なった場合も、抵当権が実行される可能性があります。住宅ローンで抵当権が実行されると、結果的に不動産などを手放すことになるので注意が必要です。
任意整理後に住宅ローンをが組めるようになる期間とは
任意整理から12年間は住宅ローンを組むことが出来ない
任意整理を行なった場合、ブラックリストに5年間載ります。
ブラックリストに載っている間は基本的に金融機関の審査には受かりません。
ブラックリストに情報が載っていても状態は、返済能力がないことを意味するので、金融機関はお金を貸してくれないわけです。そのため、任意整理から5年間は住宅ローンを組むことができません。
ブラックリストから情報が消えていれば住宅ローンを組むことができる
行なった債務整理によって期間は異なりますが、個人信用機関に登録された情報は一定の期間が過ぎると削除されます。
金融機関が行うローンの審査でも、削除された事故情報について問題にされることはありません。任意整理は5年程度でブラックリストから削除されます。
ブラックリストに載っていない状態であれば、住宅ローンを申し込むことができます。ただし、住宅ローンではブラックリスト以外にも、収入や勤続年数などの確認も行なっているので注意しましょう。
住宅ローンを申し込みたい場合は、ブラックリストに情報が載っている間に他の審査ポイントの対策をすることが大切です。
自分の個人信用情報を確認する
ブラックリストに情報が載るのは任意整理を開始した時です。
5年経つと情報は消えますが、個人信用情報機関から消えたことを知らされません。ブラックリストが心配な場合、個人信用情報機関に開示請求を求めると登録の有無が確認できます。
個人信用情報機関は3種類ありますが、任意整理の情報が登録されているのは株式会社日本信用情報機構(JICC)です。状況によっては全国銀行個人信用情報センター(KSC)にも登録されているので注意しましょう。
開示請求は基本的に本人が行います。代理人も立てられますが、その際は委任状が必要となります。
申込は指定の申込書を使って行います。申込書と手数料を各期間に提出した後は、情報開示を待つだけです。
申し込みの際には本人確認も行われます。そのため代理人の場合は、代理人であることが確認できる委任状が必要です。
任意整理後に住宅ローンを組むためのポイントについて
家族名義で住宅ローンを組む
任意整理をすると、個人信用情報におよそ5年間は事故が記録されるので、住宅ローンの審査には通らなくなります。
しかし、ブラックリストにのるのはあくまで任意整理をした本人だけなので、配偶者の個人信用情報には影響がありません。
妻が任意整理をしていても、夫の個人信用情報にはいっさい影響はしないので、夫の属性に問題がなければ住宅ローンを組むことができます。逆に、夫が任意整理をした後、妻の名義で住宅ローンを組むことも可能です。
もちろん、配偶者に住宅ローンの審査に通るだけの安定した収入があることや、信用情報に問題がないことが条件になります。
任意整理をしてから5年が経過すればブラックリストからは解除されますが、5年間も待てないという人は、家族名義で住宅ローンを組むことも検討してみましょう。
利息が高い住宅ローンに申し込む
任意整理をした後、ブラックリストにのった状態でも、住宅ローンの審査に絶対に通らないわけではありません。
債務整理をした人に住宅ローンを貸したらいけないという法律はありませんので、金融機関が貸してもよいと判断をしたら借りられます。リスクが高いと判断されたら、低金利の住宅ローンには通らなくなるでしょう。
しかし、リスクが高い人でも利息が高い住宅ローンなら、借りられる可能性があります。信販会社や消費者金融が提供している、高金利の住宅ローンでは信用情報に問題があっても、年収に対して無理のない金額ならば借りられる可能性があります。
一般的に、金利が低いほど住宅ローンの審査は厳しいので、その逆で金利が高い住宅ローンは通りやすいと考えられます。
任意整理していない金融機関の住宅ローンに申し込む
任意整理を行なった場合にブラックリストから削除されても、任意整理をした金融機関の独自のリストには過任意整理をしたという情報が残っている可能性が高いです。
そのため過去に債務整理をしている金融機関の住宅ローンには、申し込みをしないほうが良いです。
基本的に一度任意整理されたところからは新規でローンを組んだり、借入をしたりすることはできません。
また個人信用情報には審査が落ちたことも記載されるので、他の審査に悪影響をもたらします。
任意整理をしていない金融機関ならば、5年が経過して信用情報から記録が消えていれば、過去の記録を調べようがないので住宅ローンの審査に影響はしません。ですので、審査で不利になりそうな金融機関は選ばないほうが良いでしょう。
収入合算やペアローンに申し込む
収入合算とは、住宅ローンを組むときに配偶者を連帯債務者もしくは連帯保証人にすることで、借入額を増やす方法です。
夫の年収が500万円、妻の年収が300万円という場合、収入合算をすれば妻の年収の50%~100%を夫の年収に上乗せして、年収650万円~800万円とみなしてもらうことができます。金融機関によって配偶者の収入をどのくらい合算できるのかは異なっています。
ペアローンの場合は3,500万円のローンを組む時に夫が2,500万円、妻が1,000万円というように、夫婦で別々の住宅ローンを組むという方法になります。
別々のローンを契約するので、夫は固定金利で妻は変動金利というように、異なる金利タイプを選ぶこともできて自由度が高いです。
収入合算もしくはペアローンでは、夫婦の個人情報が住宅ローンの審査に影響してきますので、どちらかが過去に任意整理をしていると、審査に通らない可能性が高くなります。
まとめ
住宅ローンと任意整理の関係についてご紹介してきました。
任意整理をするとブラックリストに載ってしまうのがデメリットですが、一度ブラックリストに載ったからと言って、一生住宅ローンが組めないわけではありません。
任意整理後にブラックリストから削除されれば、住宅ローンを組むことができるようになります。
ただし、任意整理後は信用実績がほとんどありませんので、紹介したポイントを参考に工夫して申し込むことが重要です。
また、現在住宅ローンを抱えている人でも、任意整理の対象に住宅ローンを含めなければ、住宅ローンへの影響はありません。
住宅ローンの返済が困難な場合は、ローン会社に毎月の返済額を調整してもらうと良いでしょう。
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